印象激変!5つの構図(応用編①)

楽しい「構図」の世界


 

花や風景などを撮るときに、「もう少しインパクトのある写真にしたい」と思う時はありませんか?

ちょっとしたポイントで、写真の印象を大きく変えることができます。

 

その一つが「構図」であり、基本編では「日の丸」「二分割」「三分割」構図を紹介しました。

今回は、「撮る」だけでなく、「見る」楽しさも、ぐっと広がる構図の世界をご案内します。

 

ダイナミックな対角線構図


まずは、「対角線構図」。その名のとおり、写真の対角線上に被写体を配置した構図 です。

この写真は、奥のシジュウカラが手前のヤマガラを見つめる視線が対角線になっています。

遠近感が強調され、「奥行」が生まれる構図です。

 

対角線構図は、「動き」を生む構図でもあります。

この写真は、まずはオオルリの目に惹き込まれ、その視線から左上に動きが流れ、枝のラインでさらに右下に流れていきます。

 斜めにラインが走っているときは、「対角線構図」を活用できるチャンスかもしれません。

 

 対角線は、写真で最も長いラインであるため、「長さ」をより一層強調でき、主題の天の川が引き立てられます。


ちなみに、建物の二本の棒?も、ライン上に配置することで統一感が生まれています。

とある方からは「自然と人工物の不思議な調和」と素敵に表現していただきましたが、言葉どおりの世界が広がっていました。

 

最後の一枚は、秋空に映える赤とんぼ。

枝とトンボのラインが対角線となっています。

2つの対角線を活用すると、安定感と幾何学的な美しさが生まれる印象があります。

 

オシャレに撮る斜線構図


こちらは、冬の円山で撮影したヤマガラ。

寒さで丸くなっている愛嬌のある姿がかわいらしいですが、少し普通すぎます。アクセントをつけるには、どんな方法があるでしょうか?

 

ここで使ってみたのが「斜線構図」です。

被写体を斜めに配置した構図であり、静的な写真に動感が盛り込まれます。

建築物や風景写真で用いられることが多く、斜線が多いほど効果が強まります。

一枚目と比べて印象の違いはいかがでしょうか?

 

さて、こちらはありきたりな看板ですが、傾けて撮ることでちょっとお洒落?に表現できます。

「普通にとったら面白みがないもの」は、「あえて傾ける斜線構図」を思い出してみてください。

この写真はふたつの愛称が山由来で惹かれたので思わず撮った一枚です。

 

奥行・高さは、三角構図


 

三角構図は、被写体を三角形状に配置した構図です。「高さ」や「奥行」を強調して表現でき、なるべく低い位置から撮ることがポイントです。

赤岳の標識は背丈より低いですが、見上げることで「高さ」が感じられます。

 

 2月の美ヶ原は白銀の世界。

果てしない雪道の感動を表現したく、地面に近づけて撮影することにより三角構図が生まれ、道の奥行が生まれました。 

三角構図は広角側で顕著にその効果が発揮されます。

 

三角構図は安定感ももたらしてくれます。

わかりやすい例は、富士山などの独立峰の写真ですが、すばしっこく動き回るシマリスも、どっしりとした岩を三角形に据えることで安定し落ち着いた雰囲気が生まれます。

 

こちらは、大台ヶ原で撮影した天の川。

木々に飛び込む川の流れと、イルミネーションのように木々に飾り付けられた星々に感動して、夢中で撮りました。

この構図は「逆三角形」となっており、上方が広がり下方が狭くなる構図のため、「吸い込まれる感覚」につつまれます。

ある種の「不安定感」でもあるため、ストリート写真で狭い道の閉塞感を表現する際にも使われます。

 

三角構図と比べて使用頻度はかなり少ないですが、私は星空や桜など、「飛び込む感覚」を感じた時に使うことが多いです。

この写真は、逆三角形の青空が桜で囲われていることにより、三角形の頂点に惹き込まれるような感覚になるのではないでしょうか。 

 

美味しい料理は、C構図


アルファベットが名前に入る構図はいくつかありますが、C字型に被写体を配置した構図を「C構図」と呼びます。

被写体の左右どちらかを「あえて写さない」ことがポイントです。

料理撮影で多用され、お皿をC字に切り抜くことで大きく写り美味しそうに見える効果があります。(私は料理写真が苦手なので、もっと上手に撮れるはずです)

 

ちなみに、斜線構図も取り入れていますが、構図の組合わせるも面白いのでぜひ試してみてください。

 

C構図は料理や花の撮影で使うことが多いですが、山岳風景にも活かせます。

横岳から赤岳へ向かう稜線のカーブがあまりにも美しく、見とれながら撮影しました。

この写真の右側にも稜線は続きますが、最も美しい箇所を切り抜くことで、インパクトのある写真にしてみました。

写真は「引き算」といわれますが、「あえて切る」C構図からもその考え方を学べます。

 

物語の世界へ!額縁構図


額縁の形で写真の中に四角形をつくり、その中に主題を配置する構図を「額縁構図」と呼びます。

この写真は上高地の穂高連峰ですが、まさに「額縁」の構図ですね。

自然と額縁の中に視線が誘導され、見せたい主題をしっかり伝えられる効果があります。

 

 花や葉っぱ、木や建物など、主題を囲えるものがあるときは、「額縁構図」を連想してみましょう。

紫陽花の中で、ちょこんと座っていた子ガエル。ちょうど前後の葉で額縁構図になり、窓から覗いているようなかわいらしい雰囲気です。

      

額縁構図の派生に「トンネル構図」があります。トンネルの中から被写体を覗いているように見える構図です。

額縁構図もトンネル構図も、視線が誘導されるだけでなく「そっと覗いている感じ」が生まれます。

茂みの奥にいる警戒心の高いキビタキを息を殺して撮った雰囲気が伝わるでしょうか?


この写真の山小屋、好きな方も多いのではないでしょうか?

会津駒ヶ岳にある「駒の小屋」です。小屋と池と、登山者たちが「雲間に浮かぶミニチュアの世界」に感じ、手前の木々で囲うことで「違う世界」を描きました。

このように、完全に囲わなくとも額縁構図は「外界」と「内界」を対比することでストーリー性が生まれる構図でもあります。

 

 余談ですが、駒の小屋は「山小屋ストーリーズ」というPodcastで知ったのですが、素敵な雰囲気の小屋でした。

この番組は色んな山小屋をテーマにしているので、私は登山の運転時によく聞いています。

 

印象を激変させる5構図(応用編①) まとめ


今回は、基本編の応用として、「対角線構図」「斜線構図」「三角構図」「C構図」「額縁構図」を紹介しました。

      

有名な写真や絵画など、多くの人が心惹かれるものには、実は視線誘導の構図が隠れているかもしれません。

 

次回のテーマは、前回のコラムを読んでご質問いただいた『スマホで美しく花を撮るには?』を考えています。

 

今後も、写真をテーマに書いてみたいと思いますので、質問などありましたらぜひお寄せください。読んでいただき、ありがとうございました。