山や自然の中で写真を撮るとき、「どんな切り口で撮ればよいだろうか?」と迷うときがあります。そんなときは「構図」の出番です。今回は、「構図」の基本をご紹介します。
構図とは
そもそも、「構図」とは、「写真を構成する被写体の配置・バランス」のことです。構図によって、写真のメッセージ性が大きく変わるため、「見た人の心を動かす」ための重要な要素の一つでもあります。
構図のポイントは、「主題が明確であること(一番伝えたいものがクリアであること)」や、「無駄を省くこと」とも言われていますが、一定のパターンがあり、それを学ぶだけでも写真を撮ることが一段楽しくなり、上達を感じられると思います。
今回は、次の山行からすぐに活かせる4つの構図を紹介します。
被写体にスポットライトを!「日の丸構図」
日の丸構図は、主題を真ん中に配置する構図です。王道すぎて意外性がない構図といわれることもありますが、私はシンプルさが好きで多用しています。
この写真では「お花畑のリスをとにかくクローズアップしたい」という想いで大きな日の丸構図としてみました。
日の丸構図では、写真に占める主題の面積が小さくても、主役として強調される特徴があります。
初夏の水田で青々と茂る稲の奥から、子ガエルがこちらを見ています。カエルの大きさは小さくても、その視線に惹き込まれる写真にすることができます。
登山中や道端などのお花畑で、一種類だけ違う花が咲いているときも日の丸構図の出番。
「花の海に浮かぶ島」のように、主題を強調することができます。
茂みの中から、クロネコがこちらを見つめています。
主題であるネコの色と対照的な色で背景を統一することで、主題の存在感が際立てられ、なんとも言えないネコの表情が印象的な写真です。
2つの被写体を引き立てる「二分割構図」
「二分割構図」は、上下または左右を均等配分した構図のことです。
これは3月の吾妻山公園で撮った写真ですが、「菜の花畑」と「春の空」の両方を際立てたく、二分割構図で撮影しました。
線が水平もしくは垂直になるようにすることがポイントです。
ここは、リフレクションで有名な唐松岳の八方池。
水面を境界とした二分割構図であり、リフレクションにより上下対称の写真となっています。
このような左右もしくは上下対称の写真は「シンメトリー構図」とも呼ばれ、登山では湖や水たまりなど、リフレクション撮影で多用され、幻想的かつドラマチックな印象をもたらしてくれる構図です。
主題と背景のバランスがよい「三分割構図」
三分割構図は、「縦と横を三分割した構図」です。
大きく2種類に分けられ、その一つ目は「2:1でフレーミングする方法」で、被写体の一方を際立たせる効果があります。
上の写真は、夕立後の稲穂を撮った一枚ですが、写真全体の中で下2/3を稲穂で埋めることで、稲穂の水滴がきらめく様子が強調されます。
こちらは真夏の白馬大池。山並みと湖面のリフレクションを2/3とすることで、空ではなく「山と映り込み」を主題としています。湖面との境界線を1/3に配置することで、写真に安定感がもたらされる効果もあります。
三分割構図の2つ目つのパターンは、「三分割した交点に被写体を配置する方法」です。
この写真は、富良野の原っぱで枝にとまっているノビタキです。ノビタキの目を交点に配置することで、背景とのバランスが安定し、春の雰囲気を感じられる写真になります。
こちらも「お花畑につつまれたエゾリス」を表現したかったので、三分割構図を採用しました。
野生動物を撮るときは、被写体だけでなく周囲の雰囲気も表現したいので、私が一番使う構図でもあります。
すこし応用編ですが、構図は組み合わせて使うことも多くあります。
この写真は、富良野の畑で獲物を咥えて駆け抜けるキタキツネ。主題であるキツネを交点に配置し、畑と背景の境界を二分割することで、躍動感と安定感を両立することができます。
空間を強調「四分割構図」
四分割構図は、三分割構図などと同様に均等に四分割し、その分割線上に被写体を配置する構図です。
三分割よりも背景の占める割合が大きくなるため、景色や雰囲気をより強調したインパクトのある写真に仕上げられます。
この写真は、早春の畑でこちらを見つめるキタキツネ。左側の白樺並木で北海道の雰囲気を、背景の十勝岳連邦で雪解けの季節を表したくて四分割にしてみました。
一般的には多くない構図かもしれませんが、被写体の目線などでバランスがとれていれば安定感のある写真になる印象です。
すぐに活かせる4つの構図(基本編) まとめ
今回は、基本編として、一般的な「日の丸構図」「二分割構図」「三分割構図」「四分割構図」を紹介しました。
私は構図ありきで写真を撮ることは多くありませんが、迷った時の「引き出し」として重宝しています。実際に山で写真を撮る際に意識してみると、写真を撮る楽しさや工夫する楽しさが広がるはずです。
また、風景や動物だけでなく、人や料理を撮るときにもきっと活用できます。
次回は、よりバリエーションのある構図を紹介したいと思います。
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